Umami in dried mushrooms
キノコはしばしばおとぎ話に登場し、いつも人間と不思議関係を築いてきた。その歴史は長く、数千年以上前から食べられてきたことが遺跡に記されており、食用として美味しいキノコもあれば、精神的な儀式のためのものもある。
古代エジプト人にとってキノコは「神々の食べ物」で、長寿や不老不死に役立つと考えられていたし、中国でも古くから食用や難病に生薬として利用されてきた。
現代においてもキノコは食通にとって素晴らしい食材のひとつで、美味しいキノコが生える場所は家族の間でも秘密にしている愛好家もいる。
食用キノコは栄養価が高く、食物繊維、タンパク質、ミネラル、ビタミンが豊富であることは知られているが、乾燥するとうま味成分が豊富になるキノコを紹介する。
乾燥ポルチーニ
子豚のようにかわいらしい形のポルチーニは、北米やヨーロッパ、アジアの一部で見られるキノコ。低カロリーで食物繊維が豊富なポルチーニは、代謝を助けるビタミンB2,B3,骨粗鬆症を予防するビタミンDを多く含む。また、銅とセレンを含み抗酸化作用がある。
ポルチーニは人工栽培が確立されていないため、生よりも乾燥ポルチーニのほうが手にはいりやすい。乾燥してうま味成分も凝縮されているのも大きなメリットである。
乾燥ポルチーニは、リゾットやパスタ、グラタンなどに良い風味を加える。
乾燥モリーユ茸
フランスの食卓に春を告げる食材のひとつ、モリーユ茸。その高価なキノコを生クリームのソースに入れただけで、すばらしいソースに変身させることができる。
タンパク質を豊富に含む他、アミノ酸、ビタミンB群やビタミンD、ミネラルも豊富に含まれていて栄養価が高い。
生で食べることは有毒だとされているが加熱して食べることができ、乾燥モリーユ茸なら手にいれることができる。クリーム系のソースやパスタ、リゾットがぴったり。
乾燥椎茸
中国や日本を原産とする椎茸は、精進料理にも使われる人気の食材。今やアメリカやヨーロッパでもShiitakeという日本の名前で売られている。
椎茸には人工栽培と自然栽培の2種類がある。人工栽培の椎茸は安価で入手しやすいが、自然栽培と比較すると風味や品質が劣る。また、その違いは乾燥した際にはっきりと現れる。
生の椎茸もビタミンやミネラル、タンパク質を豊富に含むが、乾燥するとビタミンD、葉酸、グアニル酸が飛躍的に増加する。特に、グアニル酸はほぼ乾燥椎茸にしか含まれていない。
乾燥椎茸をもどすには、じっくり時間をかけることが肝心だ。一晩水に漬けておくとちょうど良い。戻した水もスープとして活用し、リゾットやパスタで食べるととても美味しい。アヒージョやマリネにするのも良いアイデア。
乾燥キノコは保存食だから、いつでも楽しめる良いパートナー。水に漬けてもどすだけであなたの料理に深い味わいと満足感を加えることができる。
樹木と共生し、樹木や葉を土に還すキノコは森の掃除屋さん。森の恵みをたっぷり含んだ芳醇な味わいをどうぞ召し上がれ。
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