Zen and Umami - Umaminnovation

禅とは何か

禅とは、中国から流れてきた日本の仏教の一派である「禅宗」の教えや思想、その修行のことを指す言葉である。海外においても、坐禅や瞑想が有名だ。

修行とは、仏教における精神鍛錬に関する用語の１つで、財産や名誉、性欲といった人間的な欲望から解放され、生きていること自体に満足感を得られる状態を追求することを指す。

日本語では、「修行」と書いて「しゅぎょう」と読むが、この「しゅぎょう」には「修行」と「修業」の2つの漢字がある。

”修行”の「修」は「物や文章を形よくする」「人格を立派にする」という意味を示し、”修行”の「行」は「行為」を意味する。「業」は「技術」を意味し、その2つの用語は発音は同じだが意味は異なる。

禅は「行い」を正す’修行”である。

禅宗では、坐禅や清掃、読経、入浴など日常生活すべての行い通して心を整えることが修行であり、食事も修行の１つである。調理をする側、食べる側の双方に作法と心得があり、それぞれ「典座教訓」「赴粥飯法」という書物に記されている。

禅寺で作られる料理は「精進料理」と呼ばれている。仏教の戒に基づき、極力殺生を避け、煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理である。

巷では精進料理は菜食であると記載されているものも多いが、「いただいた命をありがたく食す」、「修行のための食事」という2点が根本のあり方である。

慈悲心に基づいた不摂生の教えにより、いたずらに狩りや漁をすることはないが、単純に肉食を禁ずるという意味ではない。

野菜や肉、魚などすべての食材には命がある。その尊い生命をいただくのだから、野菜の切れ端なども無駄なく使い、素材そのものの味を活かした調理を心がけるのが精進料理のあり方である。

塩味や甘味で手っ取り早く強い味をつけるのではなく、その素材の味わいをゆっくり丁寧に引き出す精進料理の良さは、うま味の良さそのものだと言えるだろう。