うま味とは何か

うま味とは何か

うま味は味覚のひとつで、甘味、酸味、苦味、塩味、に続く5番目の基本味覚である。辛味は痛覚、渋味は収れん覚として考えられるため補助味に分類される。

うま味は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸や、核酸であるイノシン酸、グアニル酸に、ナトリウムやカリウムなどのミネラルが結合した物質の味の総称である。塩味や甘味のようにはっきりした味覚ではなく淡い味わいで、他の味覚との組み合わせによって左右され美味しさを増強していると言える。

代表的なうま味物質であるグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸は、単体よりも組み合わせることで飛躍的に強く感じられることが証明されており、これを「うま味の相乗効果」という。

うま味を発見したのは日本人

うま味は、日本の池田菊苗博士が1907年に発見したものである。2002年にハワード医科大学の研究グループがうま味受容体を発見したことで、海外でも広く認められるようになった新しい味覚である。

グルタミン酸自体は、1866年にドイツのリットハウゼンにより発見されており1907年当時においても新規物質ではなかったが、グルタミン酸ナトリウムがうま味物質だという概念は菊苗によって初めて打ち立てられた。

また、仏教の教えに基づく日本料理の一種「精進料理」においても、古来より「淡味」と呼ばれる味わいがあり、うま味を指していると考えられる。

うま味はどんな味?

甘味、塩味のようなはっきりとした味と違い、うま味は舌全体に広がる淡くかすかな味わいで、持続性がある。日頃の料理でうま味を味わうのは難しく、塩味や甘味などの刺激に隠れてしまうことが多い。

赤ちゃんがはじめて出会う味、うま味

母乳にはうま味成分のグルタミン酸が多く含まれている。また、羊水の中にもグルタミン酸が含まれており、赤ちゃんは生まれる前からうま味を味わっていることがわかる。日本の昆布からとる昆布出汁にはグルタミン酸が多く含まれており、母乳中の量とほぼ同じである。

うま味は満足感を与える

5つの基本味は大きく2種類に分けることができ、味わうことで脳の報酬系が活発になる「アッパー系」、深く長く持続する「ダウナー系」がある。アッパー系には甘味や塩味、その他脂分が相当する。対するダウナー系はうま味、苦味、酸味が当てはまる。

味覚の本来の役割は、十分な食物を確保することができなかった時代に生き残りのために働いていた機能だが、産業が発達し食に不自由することがなくなった先進国の多くでは、本能的な意味での味覚情報を活用しているとは言えなくなっている。

過度に精製された自然界に存在しない高濃度の甘味・塩味は、嗜好品や薬物同様の切望感や多幸感をもたらすが、うま味は満足感を高め食欲を抑える働きをする。

うま味の健康効果

Appetite suppression effect

英国のサセックス大学の研究によると、うま味は食事の満足感を高め、食欲を抑える効果があることが明らかになっている。うま味の入ったスープを飲んだ参加者は、満足感を感じやすくなり昼食の摂取量が減ったという。

減塩効果

ただ単純に食塩の使用量をへらすと味気なくなってしまうが、うま味を効かせることで満足感を得やすくなり味わいが豊かになる。

疲労回復や脳の活性化、免疫力向上、大腸がん発症リスクの低減

うま味成分のひとつであるグルタミン酸には、疲労回復や脳の活性化、免疫力を高める効果があるとされる。また、グルタミン酸を多く摂取している人は、大腸がん発症リスクが低いことが、オランダのエラスムス大学医療センターなどの研究で明らかになった。

唾液分泌効果

唾液腺は味覚によって刺激され、唾液を分泌する。特にうま味は他の味覚よりも唾液分泌を促進することがわかっている。うま味の活用は、味覚障害の軽減や高齢者の健康長寿の鍵となる。

うま味が多く含まれている食品

うま味物質によって、多く含まれる食品が異なる。

グルタミン酸は主に野菜や海藻に多く含まれており、イノシン酸は肉や魚など動物性の食材に多く含まれている。グアニル酸は干し椎茸など乾燥したキノコ類に多く含まれる。

また、うま味物質は熟成や発酵によって増えるため、日本の醤油やタイのナンプラー、チーズなど伝統的な食品にも多く含まれている。

日本だけでなく世界中のどこでも味わえるうま味は、その土地の歴史と人々が育んだ恩恵だと言える。

「Umami(=as tastes)」と「Umai(=tasty,delicious)」の違い、「美味しさ」の再定義

「Umami」は、Tasty,Deliciousを意味する日本語「Umai,Oishii」と混同され、広告表現としてもよく使用されるため、日本でもあまり理解が進んでいない。

素材本来のうま味を十分に引き出さず、食塩や砂糖を多様した刺激的で強い味や、加工食品に対してさえも、「うま味」が多用されていると言っても過言ではないでしょう。

うま味で「おいしい」を再定義しよう

素材のうま味を引き出すには、塩分や甘味を極力使用せず、素材本来の味を引き出す調理を行うこと、それをじっくり味わうことが大切である。

塩分や砂糖を使用は、短い時間の調理で刺激と高揚感が得られる食事を可能にし、それを「美味しい」と表現されることが多い。その代償として、過剰な塩分や糖分、脂分は肥満に繋がりさまざまな健康被害を引き起こす。

砂糖や塩分の刺激を「美味しい」とするのではなく、素材本来の味を楽しみましょう。

「美味しい」を「優しい」に再定義しましょう。

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Reference

(*1) ”Kikunae Ikeda, who elucidated ‘umami’, freely moves between theoretical and applied chemistry” Norihiko Fukui

(※2)“Basic information on umami” Umami Information Centre

(*3 ) ’The strongest “salt-free” cooking theory’ Written by Keisuke Matsushima/Published by Shufuno-tomo corporation.

(*4)Una Masic and Martin R Yeomans,”Umamiflavor enhances appetite but also increase satiety”, American Journal of Clinical Nutrition

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