昆布ー人々の祈りを象徴する日本の伝統食材

軟水が生んだ日本の食文化

油と火を巧みに使う中華料理が「火の料理」だと言われるのに対し、素材の持ち味を活かし、茹でたり煮たりすることが多い日本料理を「水の料理」だという。

ヴェネツィアやオランダの潟や運河に代表されるように、古来より水は人に富や恵みをもたらしてきたが、日本においても例外ではない。日本の豊かな自然が生んだ水も人々の生活に寄り添い、「茶の湯」をはじめ、和紙など固有の文化を生み出した。日本の伝統的な手漉き和紙技術はユネスコの無形文化遺産に登録されているが、和紙にとっても水が非常に重要だという。

食物のうま味成分を効果的に抽出できる日本の軟水は、和食を「水の料理」たらしめる大きな理由のひとつであろう。

安定した大陸地塊の欧米とは違い、日本の地盤は多くの断層や活火山が存在する。ゆったりと平原を流れるセーヌ川やライン川と比較すると、日本の川は落差が急で水の流れが早く、日本の川は土中の成分を溶かし込む時間がない。この日本の急峻な地形が軟水を生み、日本の食文化を生むことになる。

和食は、ベースとして出汁というスープが使われることが多い。出汁とは、乾燥昆布や鰹節、乾燥椎茸などを水で煮出したもので、ラーメンや味噌汁、しゃぶしゃぶなど幅広く使われている。また、出汁食材は唐揚げやカレーなどにも隠し味として使われることも多く、日本人がほっと安心する味として欠かせないものである。

この記事では、出汁の主な素材のひとつである”昆布”についてご紹介する。

日本における昆布の歴史

‘Kaleidoscope of Books’, National Diet Library https://www.ndl.go.jp/kaleido/

昆布は海藻の一種である。世界中で獲れる海藻の中でも、ここで述べる昆布は主にコンブ科コンブ属の食用昆布を指す。種類にもよるが、厚みがあり長いもので20m程度に及ぶ昆布もある。

日本における昆布の歴史は長い。約1200年前に書かれた「続日本紀」という史書に登場するのが最古の例である。昆布は朝廷が行う仏事や神事に欠かせないものとして登場しているほか、租税として指定されていた。 日本の伝統芸能である狂言にも「昆布売」という曲目も存在する。

日本の伝統芸能である狂言にも「昆布売」という曲目も存在する。

朝廷に貢納された昆布は神社や寺院に支給され、神社では供物として、寺院では寺院では精進料理に利用されていた。

昆布と人々の祈り

日本には「語呂合わせ」という言葉遊びがある。同じ言葉に異なる単語や読み方を当てはめて遊ぶもので、その起源は和歌であるとも雅楽であるとも言われている。

合わせて、日本には古来より「言霊」という信仰がある。人々が発する言葉には霊的な力が宿り、忌み嫌われる言葉を話すと良くないことが起こり、祝福の言葉を使うと状況が好転するというものである。

日本最古の和歌集「万葉集」に収められている和歌にも「大和は言霊の幸わう国(=日本は言葉の霊力が幸福をもたらす国)」という一節が記載されている。

言霊は勝負事や祝い事、仏事などさまざまな場面で考慮されており、その起源は仏教であるとも、漁師や猟師が豊漁や豊作を願ったことだとも言われている。

昆布は日本語で「こんぶ」と読み、さまざまな幸福や勝利をあわせる単語と非常に相性が良い。「昆布」は「よろこぶ」という語呂を合わせられ、縁起物として重宝されてきた。

結婚においては、昆布という文字に「子生婦」という語呂を合わせて子孫繁栄祈願とし、結納品の一つとして用いられている。"結納 "とは、新郎の家族が新婦の家族に贈り物をし、二人の婚約を正式に確認し、結婚による両家の結びつきを祝宴で祝う日本の風習である。

また、昆布は古来は「広布(ひろめ)」と呼ばれていたことから、結婚を「お披露目する」意図で使われた。当時は政略結婚が多く、家と家が繋がり強い同盟を結んだことを周知する意図も大きいだろう。

English: after Katsukawa Shuntei (died in 1824) by Hiroshige(1797-1858), Public domain, via Wikimedia Commons

また、昆布は戦国時代においても武士とその家族の心と身体を支える役割を果たした。

戦の出陣や凱旋の儀式では、勝利を祈って語呂のよい食べ物を食べるのが通例で、「打ち勝ち喜ぶ」という願いをこめて、打ち鮑と勝ち栗、昆布を食べる習慣があった。命をかけて戦う武士を励ます「鼓舞する」という意味も含まれている。

語呂あわせや験担ぎだけでなく、昆布は軽量で栄養価が高く長期保存が可能なため、陣中食としても非常に重宝されていたという。

昆布は、人々の大きな節目や勝負事を差支えてきた。

相撲の土俵も守る昆布ー現代に受け継がれる伝統食材

相撲は日本の国技であるが、古来は農作物の収穫を占う祭の儀式でもあった。

現在日本で行われる大相撲は1年に6回開催される。開催初日には土俵の安全と五穀豊穣、国家安泰を祈願する儀式が行われるが、ここでも昆布が使われている。

そのほか、土木工事や建築の際に土地の神を祭り、安全を祈願する”地鎮祭”にも使われるほか、正月料理の定番メニューでもある。

乾燥昆布は、今の時代においても儀式用いられている神聖な食材であり、人々の健康を支える伝統食材である。

次の記事:日本の近代化と昆布、伝統的な生産方法

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-Reference website

https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/17/1.html

https://cc.nuis.ac.jp/library/files/kiyou/in2018/in2018_001.pdf

https://kombu.or.jp/power/history

https://president.jp/articles/-/64005?page=1

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